2011年11月4日金曜日

日本語パフォーマンスを評価する

前に書いたコンテストのこと。
その朗読コンテストは、審査員3人が教員ではなく、会社の方々だった。今回初めて審査員をする方もいれば、前にも審査員をしたことがある方もいらした。

最後に講評があって、その中で言われていたこと。

自分も東京出身ではなく人のことをあれこれ言えないが、という前置きがあって、
アクセントが違う。
「か」と「が」の発音が区別できていない。
促音「っ」の発音ができていない。
などという内容があった。

「か」と「が」に関しては、聞いていた私は感じていなかったので面白いなと思った。音声的な違いよりも、アクセントから違和感を感じるのではないかと推測した。

また、今回の朗読コンテストは違いがあまりはっきりしないので、あえて点数に違いをつける意味で、という前置きの後、
始まりと終わりにお辞儀をした人を高く評価した。
という話もあった。この時に確か、そういう礼儀のような日本文化も知ってほしいという話だったと記憶している。

やはり、というか、そういうところを見ているんだなと思った。「お辞儀」や「挨拶」は、駐在員の方がよく言われることだし、日本のいわゆる「会社のマナー」でも言われていることで、こういうところでも評価対象になるのだなと思った。(この話が伝わり、次回は学生たちがみんなお辞儀をするようになるのだろうか…。)

 ぱっと見た相手を評価するというのは非常に難しいと思う。私自身も先学期の学期末に代講で学生の発表の評価をして、その難しさを実感した。

 その授業は1年生のいわゆる会話のクラス。私は、その大学の2年生は担当したことがあるが、1年生は接したことがなく、2年生も、会話のクラスを担当したのははるか昔のことだったので、1年生の学年末に学生がだいたいどのような状況なのか、というのは、あまり感覚がつかめていなかった。いくつか項目を決め、5段階で評価するようにしていたのだが、「とてもよくできる」か「とても厳しい状況」かはつかめるものの、それ以外の学生はだいたい同じような評価になった。評価しながら、普段担当している学生ならば、もう少し評価にばらつきが出るのではないかと思っていた。ということは、私がしていた評価は、その場での評価ではなく、普段のパフォーマンスと比較しての評価だったということだ。

 以前、会社で外国人の採用担当をしていた友人から「教育経験のない人は評価ができない」ということを聞いたことがある。少し難しい単語を言うと、「お、こいつはできる」と思ってしまう。少しつっこめばできないことがわかるのに、そこでつっこまずに相手のペースのままで判断してしまって、できない人を採用してしまう、ということだった。(OPIで言う、いわゆる「おはこ」みたいなことだろう。)

 これを聞いて、そういうこともあるだろうなとは思っていて、その時は自分だったらそんなものに惑わされないぐらいの妙な自信があったように思うが、知らない学生の評価をして、自分のできなさに自信がふっとんでしまった。と同時に、みんなどういう観点で評価しているのだろう、というところも大いに気になった。

 その意味で、この朗読コンテストの講評は興味深かった。こういう「教育場面」と、例えば会社の面接などでは、評価する側も見方が違うかもしれないが、参考になると思った。

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