2012年3月21日水曜日

レポートのコピペを見つける

非常勤をしている大学からのメールで、Turnitinの使い方の説明会があるというお知らせ。コピペを見つけるソフトがあることは知っていたが、詳しくは知らず、Turnitinを調べてみたら、30以上の言語で利用できるらしい。今回のメールは、このTurnitinを勤務先の大学が購入し、登録の申請をすれば使用できるというお知らせも含まれていた。そういう風になってきたか、と思ったのと、私が授業担当しているもう一つの大学でも、是非導入してもらいたい、と思った。
というのも、もうひとつの大学の先学期の担当授業では中国語可のレポートを課題に出したのだが、中国語のレポートでコピペされたものを見つけてしまった。コピペで提出するようなレポートを課すほうが頭がない、と言われそうだが、私としてはコピペができないようなレポート課題にしたつもりではある。そうしたからかはわからないが、レポートを読みながら、「なんかこれ課題とづれてるな」と思ったことと、少し専門的すぎる内容だったことから、「もしかして…」と思ってグーグルで検索してみると、そのままの文章が出てきたのだ。そして、「はあ、面倒なことになった…」とも思った。(結局見つけたコピペレポートは110ぐらいのレポートから2つ)

コピペと同じような感じでネットを使って困るのが、自動翻訳だ。作文の授業などではよく見かける。自動翻訳は、使えるものなら使ってもらいたいが、現在、あまり実用的な自動翻訳には出会ったことがない。(無料で使えるものしか知らないので、有料で使えるものについては知らないが。)この自動翻訳された文章は、ある程度勘が働いて、「これは自動翻訳だな」と思うとそのことを学生に伝え、そのまま返却することにしている。(普通なら添削して返却)
 また、作文でもコピペがあるが、これもかなりの部分で勘が働いている(と自分では思っている。)私は基本的には、自分の書きたいものと似ているものをネットで探し、参考にできるものは参考にすることは、推奨している。学生には、①文章をまるごとコピーして提出することは許されない。②文をまるごとコピーするのも基本的にはだめ。③自分が意味と、ある程度の文法構造も理解したうえで、自分が言いたかったことを言っている表現に出会ったら使う。というように話している。それでも、まるごとコピペしたり、前後のつながりを考えないで一部分コピペして提出される作文がある。まるごとコピペの場合は、コピペ元を探し出し、そのことを学生に伝え、再度提出してもらっている。一部コピペの場合、コピペされた部分と文章全体でつながらない部分を指摘し、書きなおしてもらう。

長々と日本語の場合を書いたのだが、私が中国語のレポートでコピペを見つけて面倒だと思ったのは、まず私には日本語でコピペや自動翻訳を見つけるような勘が中国語の場合働かないことだ。私は中国語ではだいたいの意味は取れるが、ニュアンスはわからないし、文体が違う、というのもよくわからない。例えば、文章の途中であきらかに文体が違っていたとしても、そんなことには気がつかないと思う。日本語で書かれているものを見ている場合は、意味を考え、文体を見極め…ということを同時に行うことができるのだが、中国語の場合は、意味を取ることで精一杯で、「もしかしてコピペ?」と思った時点で、また一からレポートを見なおさなければならない。先に書いたレポートだが、100名以上から提出されるレポートを見るだけでも大変なのに、コピペも見つけなければと思うと、どれだけ時間がかかるかわからないし、ましてや時間をかけても自分に見つけられるかどうかわからない。そんな自信はない。じゃあ、今回のように見つけてしまったものだけ気にすればいいではないか、と思うが、それは、なんだかなあ、と思う。コピペ禁止なら、そのことを提出前にはっきり告げるべきだし(以前Twitter上で議論を見たことがあるが、コピペが悪いと思わない人もいるので)、告げた以上はこちらもしかるべく対処するべきだと思うからだ。
Turnitinがどんなものかはわからないが、もしこれである程度見つけられるのであれば、そのソフトにレポートをかけてみる、ぐらいの手間はかけてもいいと思う。なので、もう一つの学校も導入してほしいなあ、というのが今の思いだ。 (実はもう導入されいたりして…とも思わなくもないので、今度聞いてみようと思う。)

2012年3月16日金曜日

Strategic Interactionをやってみた

前に、「ヒューマンな英語授業がしたい!」の本の中でやってみたいこととして書いていたStrategic Interactionを授業でやってみた。結果、わりと面白いと思ったし、学生も楽しくやっていたようだった。終わった後で聞いてみたら学生にも好評だった。「結構大変だった」とも言っていたが、またやりたいなと思う。 授業では上記の本に従い、簡単なものから始め、最後にロールプレイまで持っていった。導入の部分では「こんな時どうする?」という簡単な会話をやったが、こちらのほうが難しかった、というより、学生が何をしていいか困っていた感じだった。ここは、また次回に向けて、どう改良していくか要検討。
 面白かったのは、ロールプレイ。クラス人数が30人ほどだったので、4人か5人で1グループ、全部で6グループできた。選んだロールプレイは、役割Aが「期末テストが近いが、Bさんの誕生日なので内緒でお祝いをするのにBさんを呼び出す」、役割Bが「期末テストが近くて勉強したいが、友だちのAさんが電話をしてきて会おうと言っている。Aさんは会えば話が長くなってしまうが、Aさんを傷つけたくはない」というもの。これを選んだのは、サプライズの誕生日パーティーをするというのは、学生たちでよく聞くことだったので、設定が身近で考えやすいだろうと思ったからだ。
 ロールカードを一人1枚配り、まずはグループで相談。事前に配布してあったプリントには「相手が何を言うかわからないから、いくつか予測して計画すること」と書いておいたのだが、あまり理解されていないようだったので「プランA、プランB、プランCぐらい考えて!」と言った。あるグループは、本当に「プランA」という言葉が、自分たちが準備した紙にそのまま書いてあって、笑ってしまった。でも、この言い方はわかりやすくてよかったかもしれない。
 グループだが、時間の節約のためにその場で私が座席でグループ分けをした。自由に座って近くにいるので仲がいい人が基本だが、いつもはあまり接触がない人も同じグループになっていた。少し心配したが、それはまあ大学生、上手に相談してくれていた。代表者を決めるのも、いわゆる会話がうまい人に任せてしまうかなとも思ったが、そうではなく、じゃんけんで決めているところがほとんど。結果、クラスの中で普段話せると思われている学生が代表にはならなかった。
 代表者が話せる人ではない、というのも結果的にはとてもよかったようだ。代表者が話すというより、周りが考えて指示する、というグループが多く、会話としては滑らかさはないが、全員が参加して考えるという意味では、よかった。
 6グループあったので3つのロールプレイがあったわけだが、それぞれ展開が全く違い、それも面白かった。1つはあっけなく終了して「え?これで終わり?」と驚く場面も。1つはもめにもめ、まとまりそうになかったので、時間もないことだし、こちらが終了させた。あっけなく終了したグループは、暇だったのか、私は何も言わなかったのだが、自分たちで勝手に第2回目を初めていた。
 最後に、クラスでどんな展開だったのかを話してもらった。役割Aのアイデアだが、あっけなく終わったグループは「いっしょに勉強しない?」と言って誘い、別のグループは「交通事故で…」と言ったのでそれは大変だからということでOK。もめにもめたグループは、最初「勉強を見てほしい」と言って誘い出そうとしたそうだ。
 楽しかったので、またやってみたいと思う。時間があいたらではなく、計画的に考えなければ…。

2012年3月5日月曜日

いい文章-書き出し-

何回か書いている「いい文章」について。
 先日、作文の授業で「書き出し」について話をすることがあった。配布資料の中に「書き出し」という単語があり、学生が「書き出し」の意味がわからなかったことがきっかけ。単語の意味を説明したら、それ自体は難しくないと思ったのだが、腑に落ちないという顔の学生多数。「本の本文の前に書いてあるもののことか」とか「作者の説明か」とか、質問が出る。「じゃなくて、本当に文章の一番最初のことだよ」と言っても、まだ???の顔。
 こちらも段々不安になってくる。「え?なんか有名な小説の一番最初で、みんなが覚えているようなものない?」と聞いたら、別の授業の日本の近代文学を履修している学生が「『吾輩は猫である』みたいなものですか?」と言ってくれた。別の学生からは「三国志の最初は漢詩になっていますが、それも含まれますか」と質問があった。
 この二人の学生に助けられ、なんとなく他の学生も意味がわかってきた様子。たぶん名前ぐらいは聞いたことがあるだろうと思って、「『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』も有名だし…」といくつか例を出す。
 結論。学生たちには「書き出し」がどうのこうのという感覚はなかった。なるほど、そうなのか。「書き出し」や「冒頭」が重要だと思うのも、ある種の「いい文章」文化差なんだと気づいた。
 もしかして、と思って
「文章書く時に、書き出しで困ったことない?」と聞いたら、これも
「ない」(はあ、なんでそんなところで困るんですか…という顔に見えた)
とのこと。小学校の作文で「書き出し」が書けない子、という話があると思うが、これも「書き出しが重要」というところから来ているプレッシャーなのかも知れない。別にどうでもいいと思えば、何でもいいから書き始めるのだろう。面白い。

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○ ピア・レスポンスをやってみようかな…という気になった!