2010年6月10日木曜日

婉曲表現(中文)

よく、日本語は曖昧な表現が多いというが、そんなの日本語だけじゃない、どんな言語にもある、と思っている人も多いのではないか。私もその一人。(敬語的な表現もそう) 
前に書いた職場での言語使用の発表で聞いた、「大丈夫です」の解釈に困ったという例。
「我問經理想要去XXX(クラブの店名)續攤,但是怕您會累,不知道您覺得如何?」
と日本の取引相手に聞いた。( 仕事の後の接待で、意味としては「うちの会社の社長はクラブに行きたがっているけど、あなたが疲れてしまうのではないかと心配していますが、どうですか?」みたいなものだろう。)日本人側の返事は「大丈夫です。」だった。この「大丈夫です」はA「クラブに行かなくても大丈夫です」なのかB「疲れていてもクラブに行って大丈夫です」なのか、意味がよくわからない。
 発表で聞いたのはこんな例だった。「大丈夫です」という答えを聞いて、何が大丈夫?という例は私自身でもあると思うが、ここでの例でAとBの二つの解釈の可能性がある、というのが理解できなかった。私がこの例を見て思うのは、「大丈夫です」の意味は明らかにBだ。「クラブに行くか行かないか」は、聞かれていないのだから、Aの可能性がある、と考えるのがよくわからない。なので、発表者になぜ二つの解釈があると考えるのか聞いてみた。
学生たちは、私の質問に???という感じだったのだが、その場にいた先生が説明してくれた。この「うちの社長が行きたがっている」という部分は、別に事実ではない。「行きたくない」というのも失礼だし、相手が「行きたい」と言いやすいように、そう言っているだけ。だからこの質問の全体の意味するところは「クラブに行きますか、行きませんか」という意味なのだ。
まあ、よく考えれば「社長がクラブに行きたがっている」なんていうのは変だし、そう説明されるとわかるのだが、同じようなことを私が聞かれたら、私も「大丈夫です」と答えてしまうだろう。そして、上記のように言われた場合は、「社長が行きたいっていうんだから」と、行きたくないと思っていても「大丈夫です」と言ってしまうような気がする。
そういう婉曲表現があるんだ、と勉強になった。中文の婉曲表現は、これまでにもいくつか聞くことがあり、そのたびに「ああ、そうなんだ」と思いつつ、実際の会話で、その場で、それを婉曲表現として理解し、対応出来るかどうかは、とても自信がない、といつも思う。
特に、上記の例は、「うちの社長は…」のところも日本語で話されたものだと思うが、中文的な婉曲表現を日本語の中でされた場合は、もっと自分の対応が難しい。
婉曲表現というのは、いくらでもあると思うのだが、自分自身の行動を振り返ると、自分にとって外国語で話しているときは、表現を「字義通り」に解釈することが多い気がする。例えば、電話で「○○さんいますか?」と言われた場合、日本語だったら○○さんに「電話ですよ」というのだが、中文では「ああ、○○さん、いますよ」と返事をしてしまう(実際には電話のこんな会話ではないが、例えばの話)ような感じだ。と、日々、自分の行動を反省。
中文の中にも、このような婉曲表現は多いと思うのだが、誰か本にまとめたりしていないだろうか。読んでみたい。

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