2012年5月27日日曜日

マイクロディベートをやった

「マイクロディベート」は、前にこのブログで書いた本の中で紹介されていたもの。実は今回は2回目で、結論から言うと、前回は失敗、今回は、まあよかったかな、と思えるクラス活動になった。

 前回やったときは、やっている間から、クラス中にいや~~な雰囲気が漂っていた。学生はなんとなく嫌な感じを抱きつつも、一所懸命やってくれていたように見えた。前回で、学生には申し訳ないが、みんながどこで嫌だと思うかもなんとなくわかったので、今回は前回の反省点を踏まえてやり方を少し変えてやってみた。
 この授業では、学年統一の自作プリント教材を使用しているのだが、前回のテーマは、その教材の中のある問題について。ある問題というのは、日本で実際に起こったできごとだが、「外国人お断り」を掲げている銭湯で、日本に帰化した人が銭湯に入浴を断られ、それが問題になったもの。ディベートの前にクラスで少し意見交換をした時に、銭湯のやりかたは「ひどい!最低!」という反対派と「しょうがないんじゃないかな」という擁護派がいたので、ディベートになるかなと思ってやってみた。まず、難しかったのが立論メモを書くところ。立論メモは、議論のポイントをあげて、それに対して賛成反対を書くのだが、これがなかなか難しい。メモの欄を埋めるのに一苦労していた。また、同じグループで、3回ディベートを繰り返すのだが、これが言う人は違うけれど、同じ話が3回も繰り返される感じで、飽きていたようだった。元々、あまり多様な論点が出ないようなテーマだったからかもしれないが。
 今回は、教材に議論のテーマが複数設定されていた。テーマは、以下についての是非を問うもの。
①小学校の英語教育必修化
②小学校の郷土言語教育必修化
③高校の第二外国語にベトナム語とインドネシア語を採用
④言語は教室(学校・塾)で勉強することが大切だという考え
⑤日本語学科の卒業資格にN1合格を採用
 教材の中に賛成と反対の理由をまとめるタスクがあったので、立論メモは今回は省略した。教材の中のタスクでは議論のポイントの設定はなかったが、前回、そこに時間をとられてしまったことの反省と、ポイントがなくてもそれなりにやってくれるのではないかという期待があった。
 ディベートの方法だが、同じテーマで3人で3回やるのはやめた。やったほうがいいとは思うのだが、どうしても学生は飽きてしまう。わりとみんなの論点が似通っていて、違った観点からの議論は期待できないから、しかたないかなと思う。実際、1回目をやったあとで、「このまま、前回みたいにやる?」と聞いたら、みんなから「えーーー」という声があがった。1回議論をしたら、テーマとメンバーを変えることにした。また、1回でメンバーもテーマも換えるので、2分の自由討論の時には、審判の人も話していいことにした。
 教室の中に3人ずつのグループを作った。27人でちょうど9グループができた。(遅刻してきた学生がいて、最初は26人しかおらず、審判なしのグループを作るか、と思っていた。うまく3人グループを作れないことがあると思うのだが、そういう時はどうしているのだろう?)3人の中でA、B、Cを決めてもらい、Aが賛成、Bが反対、Cが審判で、1つめのテーマを1ラウンド行った。1ラウンド終わった時点で、Cがその場に残り、AとBが席をずれる形式で、グループを変えた。A、B、Cの役割を変え、2つめのテーマで討論をした。授業時間は2時間なのだが、最初に賛成と反対の理由をまとめるタスクを行い、その後の討論でも移動が多かったので、全部で3つのテーマを終えた。
 些細なことなのだが、時間を私の携帯で測っていたが、前回と音を変え、ボリュームも最大にした。前回は、私が声をかけないと気づかない学生もいたが、今回は、携帯の音だけで、全体に聞こえるようになった。本当に些細なことだけれど、それでもなんとなく雰囲気的に違う気がした。
 全体を通して見て気づいたこと。立論は1分半、反駁は1分の時間があるのだが、どうしても時間があまってしまい、クラス全体がシーンとする。途中で、「理由の中心だけを言うのではなくて、例もあげてみて」と言ったら、少しはよくなったように思う。また、テーマによっても話しやすいものとそうでないものがあって、あまり時間があまらない時もある。
 普段は、話す活動の時に、みんなが立って教室の中を動きまわり相手を見つけて話す、という形式にしていることが多いのだが、そうすると、あまり話さない相手というのが出てくる。今回は、じっくり座って、1人と長く対するし、相手もランダムなのでまちまちだった。いつもはあまり話さない学生同士で盛り上がっているのが見られたのはよかった。また、話すのは苦手な学生は、ただ立っているだけで、積極的に相手を見つけようとせず、逃げていることもあるのだが、今回の場合は、絶対に話さなければいけない。それも時間が最大1分半与えられていると、かなりの長時間に思えるだろう。普段は逃げがちな学生も必死に頭をしぼって話していて、それもよかった。
 最後、時間が少しあったので、学生に「今日はどうだった?」と聞いた。嫌そうな顔をしていた学生も多数いたのだが、一人「面白かった!」と言ってくれた学生がいた。「でしょ!でしょ!」と言ったら、学生みんなに笑われたが、それで全体の雰囲気が、結論よかった、に傾いた。他の学生に聞いても「まあ、よかった」という答えになった。嫌だったところとして、「時間が長い」「面倒」という声があった。時間が長いというのは、立論1分半の時間のことなのだが、最初にやるときは、1分ぐらいでもいいかもしれないと思う。
 一つ難しいと思ったのが、学生がどんな話をしているのか、全体を見ているとなかなかわからない。話の展開のさせ方を聞いてみたいと思うと、1つのグループにい続けなければならないが、うまくいっていないところに声をかけようと思ったりしているとそれができない。1回、録音させてもらいたいな、とも思った。

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