2013年2月28日木曜日

「安住紳一郎の日曜天国」

昨年末ぐらいからタイトルのラジオ番組をPodcastで聞いている。
 何がきっかけだったか忘れてしまったが、何かでこの番組のことを知り、番組の中でインタビューコーナーがあって、その部分が教材に使えるのではないかと思ってiTunesで登録していた。その後ずっと聞かないでほっておいたのだが、聞いてみるとこれが面白い!教材に使うとか何とかとは全く関係なく、通勤の車の中で聞いている。
 この番組の面白さについては、他でも紹介されているので、ここで詳しくは語らない。もう一つ、この番組で気づいたこと。私が一番最初に聞いて驚いたのが、話の「間」だ。「間」は「ま」の「間」である。
 ラジオ番組などもうここ○十年聞いていないので、ラジオの語りは全般的にこうなのかもしれないのだが、私は最初に聞いた時に、「間」に本当にびっくりした。話している間に少しシーンとするのだ。最初は、「え!?シーンとしてる。どうしたの?いいの?」と本気で思った。安住氏が一人で話しているのではなく、相方がいるのだが、相方のあいづちが入るのでもない。考えているのでもなく、えーとか、あーとか言うのでもなく、話が終わったのでもなく、それでも、「シーン」という時間がある。
 テレビでは、「話の速度が速くなった」「饒舌に絶え間なく話し続けている」と言われている。私は、言われていることは理解できるが、あまり自分の実感として感じたことはなかった。でも、この番組の「シーン」に驚いたことで、私も饒舌なテレビの語りにすっかり慣れていたのがわかった。
 数回聞いて、この間には慣れた。そして、この間が心地良いと思うようにさえなった。
 ラジオ番組を聞いてもう一つ思ったのは、「聞くだけで相手にわかるようにする話し方」だ。目で見ればすぐわかるものを、見えない相手にどうわかりやすく伝えるか。さらっと流して話すのではなく、同じ内容を違う言い方でどう伝えるか。繰り返しとも思える話が結構多いなと感じた。「間」は、流れるように話しては早すぎてついていけないこともあるし、ずっと話し続けられていると疲れるので、小休止のように「間」があるのだろう、とも感じた。
 授業はもちろん視覚を使って伝えることができるのだが、私の場合、日本語をさらっと話しただけでは伝わらないことが多い学生を相手にしている。「ああ、学生に伝わってないな。まだこういう日本語は伝わらないのかな。」と思うことがある。でも、そんなことを思っているだけではだめなのだ。もっと、相手にわかるような話し方を工夫しないといけないと思った。
 

2013年2月22日金曜日

老人接客のちょっとした工夫

判子の入れ物は蓋をしないでお返しするんです。
銀行に行ったおり、ひょんなことから少し銀行員の方とお話をすることができた。住宅街の支店をあちこち回ってきたというその方は「高齢の方も多くて気を遣います」。
 ちょっとした物忘れというのは高齢の人にはつきもので、だからこそしていることが、最初の言葉。それを聞いたとたん「ああ、わかる」と思った。すんなり返して無意識にかばんに入れてしまっては、判子を返してもらったかどうかカバンに入れたかどうか記憶に残りにくい。カバンに入れる前に、判子の入れ物を閉じるという動作をするだけで記憶に残る確率は格段に増えると思う。
 通帳などもしまうところをよく見ていて、例えばかばんの中のポケットに入れたとか、何色のファイルにしまったなどを見ているそうだ。「通帳、忘れてきてないか?」のような問い合わせはしょっちゅうあるので、その時に「○色のファイルにしまっていらっしゃいましたよ」と答えると「あ、あった」と解決することもあったということだった。
 銀行での忘れ物は、「え!困ったどうしよう!」とうろたえるものが多い。判子はもちろんのこと、カードもあるだろうし、高齢ならメガネというのもあるだろう。通帳はさして大事ではないと思うが、うちの老人のように通帳=お金のように思っている人もいるので、重要だと思われることも多い。だからこそ、「忘れた」と言われたらそれ相応の対応をせざるを得ないし、「返してもらっていない」などと言われたら大きな問題に発展してしまう可能性もある。

 判子の入れ物は私も蓋をしないで返していただいた。老人対策ではあるのかもしれないけれど、ユニバーサルデザインがターゲット以外の人にも使いやすく好評だったものがあるのと同じように、誰にでも通じることなので顧客全員にそう接しているのだろう。
 その後別の銀行にもある手続きをしに行った。そこではうちの老人の用事だったので、私はとなりで見ていたのだが、その些細な対応の違いに「ああ、これもそうか」と思うことが多かった。最初の銀行をA銀行、後で行った銀行をB銀行にしておこう。
 まず、B銀行は手順がバラバラ。例えば、「判子はお持ちですか?」と言って客に判子を出させて置いてそれは放置し、紙に記入させ途中でまた判子を取り出させる。A銀行では、最初に判子を出させるがそれは必要な物の確認なので「あとで使います」と言って、はっきり客に見せたあとで、わかりやすいところに置く。それ以外にも、全体の手順が順番に並んでいるというよりも、「あ、そういえば」という感じで質問されるので、そのたびに作業が中断して集中力が途切れる。実際のうちの老人は書いている途中で話しかけられ、どこまで書いたかわからなくて、直前の作業に戻るのに手間取っていた。
 A銀行はこちらがやりやすい手助けがたくさんある。日付を書くときも、B銀行は「ここに今日の日付を書いてください」。A銀行は「2、0、1、3」と、一つひとつ数字を言ってくれる。別の資料から書き写すものがあるときは、A銀行は、書き写す部分に○を書いたり線を書いたりして見やすくしてくれる。「ここのこの部分を書いてください」だけだと、一度目を移動して元に戻すのが難しい。B銀行では、私がA銀行のやり方を見習い、写す元に線をひいて示した。

B銀行は外資系。何かの記事で外資系銀行はシルバー層の獲得に苦労しているというものを見た。シルバーを相手にしたいのならもう少しシルバー相手の接客を考えたほうがいいのになと思った。

2013年2月4日月曜日

やってみるかどうかの境目

「~かな?と思って、どうしてやってみないんですか??」学生に言われてごもっとも!と思った言葉。
 普段はあまり使わないFacebookに写真をアップロードしたら、コメントがついたのでそれに返信しようとした。改行しようと思ってenterキーを押すと、コメントが送信されてしまう。あれ?どうしたらいいんだ?途中で、Altキーかshiftキーを使うのかなと思ったのだが、まあいいやと思って、そのまま短いコメントを送信しつづけた。最後にコメントの中で「改行できない!」と書いたら、学生の一人が「shift+enterですよ!」とコメントで教えてくれた。
 後日、コメントを見た別の学生とたまたま会った。
学生:先生は、やっぱりFBの使い方とか、わからないんですね。
私:そうなんだよね。普段、あまり使わないし。
学生:あれは、shiftとenterをいっしょに押せばいいんですよ。
私:そうなんだ。私もそうじゃないかなあとは思ったんだけどね…。
それに対しての学生の言葉が一番最初のあれ
学生:~かな?と思って、どうしてやってみないんですか??!
はい、ごもっともでございます。学生の口調は、「ほんとに全くしょうがないなあ」という感じ。その気持ち、とてもよくわかる。私も別のことでは、他の人や学生に対して、思ったことがあるものだからだ。
 ワードやエクセル等PCのちょっとした使い方だとか、iPodみたいな小さい電気器具の使い方だとか、少しいじってみても壊れるものでもなし、とりあえずやってみればいいのに、「わからないから」と放置する。学生だと、ネットのリソースなどで少しわかりにくいページなどだと「わからない」とそれ以上見ない。どこかをクリックしたって、コンピュータが壊れるわけでも、変なものがダウンロードされてしまうわけでもないのに。
 そのたびに、「なんでやってみないんだろう」と思っていた。
 今回のFBのことも全く同じだ。shift+enterを押してみて、また同じようにコメントが送信されたとしても、どうってことはない。でも、私はやってみなかった。このやってみる一歩が出るか出ないかは、どこで違って来るのだろう?
 前にも少し似たようなことを考えたことがあるが、その時は、すぐ近くに助けてくれる人がいるかどうかが大きいのかなと思っていた。面白かった例は、友人に「ノートパソコンに無線マウスをつなげたいのだが動かないどうしたらいい?」と聞かれた時。私はその場にいて、あれしてみたらこれしてみたらと言い、それを聞きながら友人はあれこれやってみた。結局、私が言ったことは当たらず、友人が自分で動かしながら解決した。私は何の役にも立たなかったのだが、友人は私がいるという根拠のない安心感で、いろいろやってみることができたのかなとも思った。
 今回、一歩が出なかったことを反省するとともに、他の人の気持ちが少しわかるようになったのもよかったかなと思う。でも、とりあえずやってみる自分のほうがいいかなとまた反省。次回なにかあったらやってみよう!

2013年2月1日金曜日

不妊のおまじない

少し前に友人から聞いた話。
 結婚して日本に住んでいる台湾人の友人。息子さんが一人いて、二人目がほしいのだがなかなか授からない。さらに、彼女の友人も子どもがほしいのだができない。ということで、二人分のおまじないグッズを台湾にいる自分の妹さんに頼んだ。
 どういうおまじないグッズかというと、今妊娠している人が妊娠する前に購入した生理用ナプキン。男の子がほしい人はお腹にいる子が男の子の妊婦さんからもらう。女の子が欲しい場合は女の子がいる人からもらう、とのこと。なんかわかりやすいというか、生々しい感じもするなあと聞いた時に思った。そのナプキンは化粧ポーチなど普段身に付けるものの中に入れておくのだという。
友人の妹さんはこのことを知らなかったのだが、職場で周りの人に聞いてみると「もう全部あげてなくなった」という人が多数。結構、知られているおまじないだということに驚いたらしい。妹さんからは、職場の妊婦さん経由のネットワークで、無事におまじないグッズが届いたそうだ。
 私も日本の友人で不妊に悩んでいる人が結構いて、いいお医者さんだとか漢方薬の話だとかは聞いたことがあったのだが、こういうおまじないは聞いたことがなかった。
 私はこの友人のおかげで、不妊、妊娠、出産、避妊などについていろいろ知ったことがある。いつも質問をされるのだが、私はよくわからないので日本の友人に聞くと、「うーん、あまりないと思うけど」ということも多い。それ以外にも、「台湾では一般的」と言われることについて、え!?そうなの?と驚いたこともしばしば。
 ナプキンに関することで妊娠とは関係がないのだが、ドラマを見て驚いたことがひとつ。おととしぐらいだったか、かなり話題になった台湾ドラマで私も見ていたのだが、その中のある場面。
 遠距離恋愛をしている彼氏のところに彼女が初めて来る。彼氏の仕事中に彼女が着いてしまうので、この彼氏は彼女のためにいろいろ準備をする。食べ物はここにあるよ、とか、帰るまで雑誌を見ていてと複数冊の雑誌を整え、さらに、「万が一のために…どのメーカーのがいいかわからなかったから色々買っておいた」と生理用ナプキンまで用意。
 この話を台湾に住んでいる日本人の友人に話したら「そんなことされたら私だったらひいちゃう」。
 なんとなく、ちょっと日常の話題に載せにくいことで、面白い違いを感じることがある。