2012年10月21日日曜日

ケアマネの話術

 数年前からケアマネさんとお付き合いがある。(仕事ではなく、プライベートで)実家の老人のことでケアマネさんにお願いしているわけだが、ケアマネさんにしてもヘルパーさんにしても、仕事ぶりを見ていて「話術も仕事のうち」と感じることが多く、どうやってこの話術を身につけるのだろうと思う。日頃「コミュニケーションは…」などいうことを考えているので、家の事情ぬきに知りたくなる。
 私は多くのご老人を知っているわけではないし、家族に見せる顔と他人に見せる顔は違うと思うので比較はできないのだが、でも、うちの老人は扱いにくい部類に入るのではないかと思っている。家族はイラッと接してしまったりもするが、それでもなだめすかし、おだてて何かをしてもらうことが多い。「何かをしてもらう」というのは、日常必要なこと-体の調子が悪くて医者に行く、外出する、買い物に行く-だ。
 先日、ケアマネさんの仕事ぶりを見た家族から聞いたこと。一言「プロの仕事だ!」。上手に「何かをしてもらう」ように、話を仕向け、おだて、結果、本人がするように持っていく。部屋にカレンダーが貼ってあって、そこに色々な予定が書いてあるのを見て「まあ、お忙しいですね」と喜ばせるようなことを言いながら、たぶんさりげなく予定をチェックしている。薬の管理をするために薬剤師さんにお願いするのだが、その薬剤師さんとも事前に打ち合わせ済みで、本人が喜ぶような話題を提供し、気に入られるようにし、薬剤師さんにお願いする合意を得る。
 家族が見て驚いたのはうちの老人が「タメ口で話していた」ことだった。うちの老人はどちらかと言えば、他人行儀が好きなほうで、相手との距離を置くことが多い。その老人がタメ口で話しているということは、かなり気を許している証拠だ。
 ケアマネさんの話し方は、私が見た限り、近づきすぎず、距離を置きすぎず。たぶんうちの老人が好きそうな話し方だ。これはかなり難しいことだと思う。人によってどんな距離感を好むかは違うし、どんな話し方がどんな距離感を生むかも違うからだ。ケアマネさんは、うちの老人の話し方、家族が老人に対してする話し方等を見て、好みの距離感を察し、接しているのではないかと思う。
 月1回の訪問で、家族もいつもいるわけではなく、家族と話した回数もそんなに多いわけではないのに、ここまでできてしまうケアマネさんには脱帽だ。こう家族に思わせるケアマネさんは真のプロだ!と思う。(お医者さんでは、こと老人のことに関してここまで思わせてくれる人には残念ながらお会いできていない。)
 ケアマネさんの話術は、もしかしたら、うちの老人のような扱いにくい人に対してだけかもしれないが、とても必要な重要な技術だ。話術がなければ、担当者(老人)から必要な情報を聞き出せない。話をしていてある程度の本音を引き出せなければ、その老人がどんな生活状態になっているのか把握するのは難しい。また、いろいろやりたがらない人に、話術をもって、説得し、やってもらうように仕向けなければならない。
 気になってネットで調べてみたら、ケアマネさんの話術についてはあまり見当たらない。見たところ、人によるもののようだ。家は幸運にもいいケアマネさんに担当してもらうことができたということなのだろう。
 「話術」は「コミュニケーション能力」と同じように、つかみどころのない、なんとも説明が難しいものだ。でも、ケアマネさんのこの話術は、具体的にどうにか説明ができるようにならないかなと思う。
 

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