2013年8月4日日曜日

職場での相手の呼び方【中国語】

 以前「相手の呼び方」の記事で、台湾の学生が知り合ってから友だちのことをどう呼ぶか、呼び方がどう変化するか、を書いた。その時から職場ではどう呼ぶのだろう?と気になっていた。私は大学で仕事をしているので、基本的に「姓+老師」「名前+老師」か、「役職名」「姓+役職名」である。でも普通の職場では役職はあるけれど、「老師」に代わるものはないから、なんて呼ぶのか興味があったのだ。
 きのう、卒業生のWさんに会ったので、気になっていた呼び方を聞いてみた。結果、いたってシンプルで
名前(呼び捨て)
ということだった。この呼び捨て、日本の呼び捨ての感覚とは本当に違う。名前というのは、姓名の名のほうだ。姓名フルネームでいうと、また感覚は違う。
また、役職がある人には
「名前+役職」
この「名前」も姓名の名のほう。私がいた大学では「姓+役職」か「フルネーム+役職」で、「名前+役職」は聞いたことがなかった。学校と会社との違いだろうか。
 その他、北部では驚いたことに
英語名
が基本らしい。台湾人がみんな英語の名前があるわけではないが、たぶん、職場で言われて適当に考える人も多いのだろう。ちなみにWさんも英語名で呼ばれているそうだ。「英語名で」というのは、中国語の名前だと外国人が言い難いかららしい。Wさんが勤めている会社には日本人スタッフもいて、彼女は通訳として仕事をしているので、彼女のことはみんな英語名で呼ぶのだそうだ。
 そう言えば、学生にも「アルバイト先ではどう呼ぶの?」と聞いたら「英語名」と答えた学生がいた。ずっと昔の大学時代、友人がイタリアンレストランでアルバイトをしていて、「☓☓ペルファボーレ」みたいにイタリア語を使わされる、というのを聞いたことがあったので、アルバイト先の「英語名」もそんな感じなのかなあと思っていた。
 でも、今回聞いたところでは、そんなコジャレた感じをねらっているのではなさそうだ。まあWさんの知っている範囲なので、全部が全部というわけではないのだろうが、「英語名」を使うのがかなり一般的ではあるのだろう。
 また、「名前+哥」「名前+姐」という言い方もある。「哥」はお兄さん、「姐」はお姉さんの意味で、年上の男性には「名前+哥」、女性には「名前+姐」ということもある。ただし、言葉のお兄さん、お姉さんとは実は違い、かなり年上の、言い換えればおじさま、おばさま方に使うようだ。Wさんがある人を「○○哥」と呼んだら「そんなに年違わないよ」と言われたので、それ以来その人は普通に名前で呼んでいると言っていた。自分のお母さんぐらいの年齢の人は○○姐と呼んでいる。

 この呼び捨て、私は心理的にどうしても抵抗があって、なかなかできない。私は学校で呼び捨てにされたことがなく、見かけた範囲でも部活の指導の先生が呼び捨てにしていることはあっても、授業では基本は「○○さん」と呼ぶところにいたので、慣れていないことも一因だと思う。Wさんに
そうですね。先生にとって、K先生を「☓☓(名前)」って呼び捨てで呼ぶのは難しいですよね。
と笑われた。難しいを通り越して、信じられない!想像できない世界!私は、自分より年上の人はもちろん、学生を呼び捨てにするのもすごく抵抗がある。なんかえらそうな、態度が横柄な、権威主義的な教師、みたいなイメージに思えてしょうがないのだ。でも、感覚が違うのだから、慣れないとなあとも思う。以前学生に中国語を教えてもらっていたとき、
 メールの名前はどうかけばいいの?「名前+同學」?
と聞いたら、
 えー、同學はやめてください。名前だけにしてください。
と言われた。
 もう一つ、これも普段気になっていたあること。事務室の助手の人からメールをもらって返信する時、私はどうしても「名前+助理」と、名前の後ろに役職をつけてしまうのだが、「これってどうなの?」とWさんに聞いたら、
なんか遠い感じですね。呼び捨てにされたほうが相手はうれしいと思いますよ。
とのことだった。呼び捨ての心理的壁を乗り越えないと…。簡単そうなのだが、難しい。ふう。

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