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2013年8月4日日曜日

職場での相手の呼び方【中国語】

 以前「相手の呼び方」の記事で、台湾の学生が知り合ってから友だちのことをどう呼ぶか、呼び方がどう変化するか、を書いた。その時から職場ではどう呼ぶのだろう?と気になっていた。私は大学で仕事をしているので、基本的に「姓+老師」「名前+老師」か、「役職名」「姓+役職名」である。でも普通の職場では役職はあるけれど、「老師」に代わるものはないから、なんて呼ぶのか興味があったのだ。
 きのう、卒業生のWさんに会ったので、気になっていた呼び方を聞いてみた。結果、いたってシンプルで
名前(呼び捨て)
ということだった。この呼び捨て、日本の呼び捨ての感覚とは本当に違う。名前というのは、姓名の名のほうだ。姓名フルネームでいうと、また感覚は違う。
また、役職がある人には
「名前+役職」
この「名前」も姓名の名のほう。私がいた大学では「姓+役職」か「フルネーム+役職」で、「名前+役職」は聞いたことがなかった。学校と会社との違いだろうか。
 その他、北部では驚いたことに
英語名
が基本らしい。台湾人がみんな英語の名前があるわけではないが、たぶん、職場で言われて適当に考える人も多いのだろう。ちなみにWさんも英語名で呼ばれているそうだ。「英語名で」というのは、中国語の名前だと外国人が言い難いかららしい。Wさんが勤めている会社には日本人スタッフもいて、彼女は通訳として仕事をしているので、彼女のことはみんな英語名で呼ぶのだそうだ。
 そう言えば、学生にも「アルバイト先ではどう呼ぶの?」と聞いたら「英語名」と答えた学生がいた。ずっと昔の大学時代、友人がイタリアンレストランでアルバイトをしていて、「☓☓ペルファボーレ」みたいにイタリア語を使わされる、というのを聞いたことがあったので、アルバイト先の「英語名」もそんな感じなのかなあと思っていた。
 でも、今回聞いたところでは、そんなコジャレた感じをねらっているのではなさそうだ。まあWさんの知っている範囲なので、全部が全部というわけではないのだろうが、「英語名」を使うのがかなり一般的ではあるのだろう。
 また、「名前+哥」「名前+姐」という言い方もある。「哥」はお兄さん、「姐」はお姉さんの意味で、年上の男性には「名前+哥」、女性には「名前+姐」ということもある。ただし、言葉のお兄さん、お姉さんとは実は違い、かなり年上の、言い換えればおじさま、おばさま方に使うようだ。Wさんがある人を「○○哥」と呼んだら「そんなに年違わないよ」と言われたので、それ以来その人は普通に名前で呼んでいると言っていた。自分のお母さんぐらいの年齢の人は○○姐と呼んでいる。

 この呼び捨て、私は心理的にどうしても抵抗があって、なかなかできない。私は学校で呼び捨てにされたことがなく、見かけた範囲でも部活の指導の先生が呼び捨てにしていることはあっても、授業では基本は「○○さん」と呼ぶところにいたので、慣れていないことも一因だと思う。Wさんに
そうですね。先生にとって、K先生を「☓☓(名前)」って呼び捨てで呼ぶのは難しいですよね。
と笑われた。難しいを通り越して、信じられない!想像できない世界!私は、自分より年上の人はもちろん、学生を呼び捨てにするのもすごく抵抗がある。なんかえらそうな、態度が横柄な、権威主義的な教師、みたいなイメージに思えてしょうがないのだ。でも、感覚が違うのだから、慣れないとなあとも思う。以前学生に中国語を教えてもらっていたとき、
 メールの名前はどうかけばいいの?「名前+同學」?
と聞いたら、
 えー、同學はやめてください。名前だけにしてください。
と言われた。
 もう一つ、これも普段気になっていたあること。事務室の助手の人からメールをもらって返信する時、私はどうしても「名前+助理」と、名前の後ろに役職をつけてしまうのだが、「これってどうなの?」とWさんに聞いたら、
なんか遠い感じですね。呼び捨てにされたほうが相手はうれしいと思いますよ。
とのことだった。呼び捨ての心理的壁を乗り越えないと…。簡単そうなのだが、難しい。ふう。

2013年7月27日土曜日

頼まれた時のNOの言い方【中国語】

 私の個人的な経験からそうじゃないかなあ、と思っていること。いやいや違うでしょ、という説明があったら聞きたい。簡単に言うと、無理なことを頼まれた時に、日本ではその場でNOという。台湾の状況ではとりあえずYESと言っておき、後でできないという。そんな感じだ。
 何かを頼まれた時に、「えー無理、無理」と思うことがあった。一度ならず、よくあった。私の日本語的な感覚だと、頼まれて「はい」と受諾したら、精一杯頼まれたことを達成しようとする。「難しいですがやってみます」的な状況でも同じ。「難しいですがやってみます」でOKした時に、もしできそうもなかったら早めにそのことを相手に伝える。「いやいやどう考えても無理でしょう」と言う時には、理由を説明し、頼まれたことにNOと言い、頼まれごとを受諾しない。
 この感覚が、仕事で中国語を使っている場合、なんか違う。今までの経験では、「えー無理」と思って事情を説明しても相手は納得してくれず、しょうがなく「難しいと思いますよ」と言って承諾し、後で「できませんでした」と言うと、あっさりと「しょうがないね」と言われる。こっちとしては、だから難しいって理由も説明したのに…、あっさりしょうがないというぐらいなら、最初にあんなに頼むな!と言いたくなる。
 ある時は「はあ?」と思うようなことを会議で上司から指示を受け、周りの同僚はその時には何も反対しなかったので、「じゃあ、やるしかないのか」とこちらは覚悟を決め、それこそ徹夜して仕事を仕上げた。でも蓋をあけてみると他の同僚は誰もやっていない。上司は「みんなが難しいというから」と指示内容を緩和し、「でもY-LABOさんはやってくれたから、これはこれで…」私の徹夜はなんだったのか…、と脱力。
 こういう経験を何度も繰り返し、とりあえずYESと言っておくのが相手に対する敬意なのではないかと考えるようになった。頼まれたことにYESと言って「あなたの気持ちを受け取りました」ということを表現する。その場でNOと言ってしまったら、相手の気持を理解しないことになるのではないか。だから、できるできないに関わらず、頼みごとにはとりあえずYESという。やるやらない、できるできないはその後の話だ。
 と考えると逆も同じ。何か頼みごとをして相手がYESと言ったからといって、必ずそれをしてくれるとは限らないということだ。相手のYESは「やりますよ」のYESではなく、「あなたの気持ちはわかりました」のYESだからだ。
 以前、日本の学生との交流活動の時のことだ。日程の最初は台北で過ごすことになっていて、それは日本側が旅行社に頼んでバスや台北でのルートなどを計画し、台湾側はそれに参加するという形式になっていた。。日本側の計画は、時間的にとても無理ではないかと思えたのでその旨伝えたが、「旅行社に話したらOKと言われましたから」と言われたのでそれ以上は何も言わなかった。でも、内心「これ、当日できませんって言われるパターンじゃないかな」と思っていたら、案の定そうだった。行程表に書かれていたようにはできないので「○○と☓☓にだけ行きます」と、当日旅行社の手配したガイドから告げられた。日本側の責任者は「OKと言ったのに…。当日、日程を変更するなんて…」とちょっと不満顔。「こういうこと、よくあるんですよ。まあこれも異文化体験ということで…」となだめることになった。
 台北でどこに行くかは大したことではないのでまだいいが、これが仕事に関わることだったら大変だろう。やると言われたことをあてにし、それに関わるその他の仕事を組んでいたら大元ができない。その他の仕事の計画も狂ってしまう。どこかで聞いたことがあるような、台湾での仕事の不満の原因はここにあるのではないかと思う。
 頭で理解しても、行動がともなうかというとそれはまた別問題だ。断ったあとになって「あ、一応OKって言っとけばよかった」と思ったことが、これまで何度もある。そうは言っても、理解していないよりはいいのだと思う。不満やストレスが少なくなるし、何回かに一回は行動も伴うようになってくる。
 頼まれたら、最初に断らない。最初に断ったらどんな断り方でも「むげに断った」ことになる。相手にOKと言われても「ああよかった」と安心せず、途中で様子をうかがってみる。私の心のなかにある頼まれごとの対処法だ。

2013年5月6日月曜日

台湾第四原発の周辺

 自救会の会長さんにお話を伺った後(「台湾の第四原発-自救会の会長さんのお話」)、実際に原発周辺に行ってみた。
 原発敷地内の見学もできるのだが、会長さんが原発の人に連絡してくれたところ、休日だし事前に申し込みがないと内部の見学はできないとのこと。外から見るだけでもと、会長さんの運転する車で原発の場所に向かった。
 駅に集合し歩いていた時にも多少降っていた雨が、かなり本格的な雨になっていた。
 自救会から再び駅方向に向い、観光客の車がたくさん止まっている中をぬけて、広い道路を走っていくと、そこは原発。見えるのは煙突と原子炉建屋。以前、台湾プラスチックのコンビナートを見学に行ったことがあるが、その時は外から見てもいろいろな設備があるのが見え、大規模な何やらやっている感があったのだが、原発はいたってシンプルに見えた。
 自救会の車は、正面に「自救会」と大きく書かれていて見ればひと目でわかる。私は気づかなかったが、車が着いたとたんに、正面の鉄格子の門が車が入れない程度に閉められたようだ。中に入れないし、雨が降っていて視界が悪くよく見えないけど、とりあえず車から降りて外に出てみる。鉄の門の向こうには駐車スペースがあり、車が何台か止まっている。その先に警備員さんがいる建物があって、警備員が4名ぐらいいるように見えた。休日ではあるが、中の道を車が何回か通って行った。
 どのぐらい経っただろうか、雨もひどいしそろそろ車に戻ろうという時、会長さんに電話がかかってきた。後で聞いたところによると、その時に警備員のところに中にいる警察の車が来て(外からはただの黒い車にしか見えなかった)、電話はその警察から。「いつまでいるの?」という内容だったそうだ。警備員さんも一応仕事だから門を少ししめ、警察も仕事だから自救会の人が来たらチェックする。自救会にいた時に、会長さんが内部の見学ができないかどうか、原発の人に電話をかけてくれたのだが、その時にも、「今は、お互いにコミュニケーションを図ろうということになっているから、原発の人も知り合い」と言っていた。車にいたら、中からオートバイの人が出てきて、会長さんに手を振って挨拶し通り過ぎた。いわゆる対立という感じではないようだ。
 近くに水道局の水源がある、ということなので見に行く。ここも、会長さんが連絡してくれて、中に入れてもらった。この水源からは3箇所(地名はよく聞き取れなかった)と基隆市の一部に水が供給されている。原発で事故が起き放射性物質が広がったら、間違いなくこの水源も使えなくなる。そうしたら、多くの人に影響が出る。
 台北からの電車から、線路沿いに綺麗な川が見えた。川で遊んでいる人も結構いた。私の台湾の生活区域ではどぶ川みたいな川しか見たことがなかったので、いいなあと思いながら見ていた。あの川も人が近寄れなくなるのかなと思った。
 「この場所の特色は、川の淡水と海水が交じり合うところがあることなんです。そこを見ることができるけど、行ってみますか」というので、水道局を離れ、次の場所へ移動。
 次に来たのは海岸を少し見下ろす感じの場所。廟があり、車が止められる広場になっている。少し遠くにサンドアートが見える。左側から海に向かって川の水が流れ込んでいるのが見える。天気がよければ原発も見えるらしい。海岸では釣り糸を垂れている人、海ではサーフィンをしている人がいる。天気がよければもっと遊んでいる人が多いのだろう。
 福隆は特に産業もなく、観光が収入源。原発がひとたび稼働したら、事故が起きなくても、海に遊びにくる人は少なくなるだろう。
 最後に駅まで送っていただいた。駅には観光客がたくさんいた。楽しそうな観光客と原発の対比が不思議な感じがした。観光客のすぐ近くに原発がある。原発はいたってシンプルで見た感じは危険そうなにおいはしない。私の家から高速までの道にある台湾プラスチックの工場のほうが、何やら変なにおいがして(時々家の近くもそのにおいがして)、危険さを漂わせている。放射性物質も目に見えない。わけのわからないとても透明な感じ。黒よりも怖い透明、そんな感じがした。

台湾の第四原発-自救会の会長さんのお話

 5月5日、台湾北部「貢寮」にある核四(第四原発)に反対する「自救會」を訪ねた。大学の同僚のF先生の授業で学生を連れて見学に行くのに混ぜていただいた。
 台中から新幹線で台北まで1時間、台北から電車に揺られてまた1時間。「貢寮」駅もあるのだが、降りたのは「貢寮」駅の一つ先の「福隆」。原発建設地なので海沿いの場所。その日は海岸でサンドアートのお祭り?も開催されていた。F先生から「福隆」はお弁当が有名と聞いて、お弁当が有名って何?と思っていたが、駅を降りると駅前の道の両側に店が並び、確かにお弁当屋がたくさんある。さらにどれが有名店なのか見てすぐわかるほど、駅前すぐの店は長蛇の列。観光客と思われる人たちがたくさんいた。駅でみんな集合し、サイクリングロードをとぼとぼ歩いて、10分ほどで「自救會」に着いた。
 核四は、今年、その是非を問う国民投票が行われることになっていて、3月には大きなデモ行動も行われた。
 私の中国語力では難しかった部分もあるが、以下、私が理解した会長さんのお話の内容。
・核四の歴史。民国69年(1980)に建設計画が出された。民国74年(1985)、蒋経国の時に、住民の反対にあい、建設計画は一時停止される。民国77年(1988)、「自救會」ができた。建設計画からすでに33年が経過。「自救會」は25年の歴史を持つ。
・台湾の第一から第三原発までは、セットで外国に作ってもらった。第四は、第一から第三とは違い、独立した計画。台湾電力が第一から第三の経験を元に、中心となって計画。
・原発がなければ電力不足が起きると言っているが、今、台湾の電力使用量は減少傾向にある。(工場が中国などに移転した結果)第四原発がない現在、電力不足の問題は起きていない。電力不足が起きるというのはウソ。
・現在ある原発では、高濃度の放射性廃棄物は、元の原発の場所に保管されている。保管方法に問題があり、原発周辺地域ではガンの羅患率が高い。
・原発はブラックボックスに包まれている。建設現場も、予算の使い方も明らかにされない。
・原発は安全でクリーンで安いと政府は言うがそれはウソだ。安いのウソの一つが中央埠頭の問題。核四のために作った中央埠頭は、自然の海流を止めてしまったので、自然の海流があれば流れていった砂がたまるようになり、それを毎日抜き取るために巨額の費用がかかっている。
・原発ではこれまでにも事故が起こっている。原発では何万本もの線が使われていて、そのうち1本でも問題が起きれば事故が起きる。事故が起きて放射性物質が拡散すれば被害は大きい。
・アメリカや日本のような高度の科学技術を持った国でも原発の事故が起こっている。(技術力が高くても事故は起きる)まして、台湾はアメリカや日本に比べて国土が狭い。そんなところで事故が起きれば大きな影響が起きる。小さな台湾で原発はいらない。
・核四の場所は、三つの活断層がある。地震の危険が大きい。
・地震が起きて想定される津波は20メートルに及ぶと言われている。しかし津波を防ぐ壁は12メートルしかなく、津波の被害から守ることができない。
・政府は、「原発から何キロ圏内」という言い方をするが、放射性物質が風にのって飛散するので、風の方向によって影響が変わり、中心から等距離に影響が出るものではない。政府の考え方は正しいことを伝えていない。
・国民投票は、ハードルが高すぎる。有権者の過半数が投票に参加しなければ投票は成立しない。核四を停止させるには、国民投票を有権者の過半数が投票に参加し、さらにその過半数が停止に賛成票を投じる必要がある。それは事実上不可能。(過去、国民投票が成立したことはない。総統選と同時に行われた国民投票ですら、過半数投票には達しなかった。)来年は大きな選挙が控えているが、現政権の国民党はその選挙と同日に国民投票を実施したくはない。だから今年中に国民投票を行おうとしている。
・国民党は核四賛成、民進党は核四反対、という政治的にはっきり対立があるのでもない。それぞれの中にも賛成や反対意見がある。
・地元の反応。最近は地元で大きな動きはない。3月9日の台北でのデモには多くの人が参加したが、それはむしろ意外だった。核四では200人強の地元民が働いていて、核四がなくなれば、その人たちが失業するという影響もある。
・会長さんの国民投票への見方。馬英九総統は、国民投票が成立せず、そして反対票がわりと多いという状況をねらっているのかもしれない。反対票が多かったので、核四を停止にはしないが、国民の意向を組んで、一時停止に持ち込む。そうすれば、自分たちのポケットにお金が入る。

 以下、質問とそれに対する会長の答え。
Q:火力発電は温暖化を引き起こし環境によくないと思うが。
A:それもあるかもしれないが、原発で放射性物質が出たらその影響は計り知れない。その影響のほうが危ない。
Q:国民投票の話が出る前と後では地元の様子は何か変わったか。
A:もう30年以上の問題なので地元は麻痺している。

 お話ししてくださった会長さんも、歳の頃は私とそう変わらないように見えた。とすると、30年以上のこの問題は、会長さんも計画が始まった頃は、子どもだったということ。最初の反対運動をしていた人とは、今は世代交代しているはずだ。逆に、計画を立ち上げた側も世代交代している。会長さんを前に、30年は長いなあと感じた。

2013年5月5日日曜日

台湾の英語教育は実用的なの?

 きのう、江利川春雄氏のブログ記事‘「大学入試にTOEFL」の黒幕は経済同友会’を読んでいて、コメント欄の内容に少し??と感じた。中国、韓国、台湾は学校教育で英会話の習得に力を入れているというような内容なのだが、台湾での私の印象はそうではない。よく言われているのは日本と同じようなこと。受験のための勉強ばかりしていて、実用的な英語は身に付いていないというものだ。そして、実際に英語を話せる人が日本と比べて目立って多いかと言えば、そうではないというのが私の印象だ。
 台湾に来たばかりの頃、私も中国語ができずに第二外国語のクラスを担当して、英語を使って授業をしていた。という私もそんなに英語ができるわけではないが、第二外国語のそれも初心者クラスだったので、話すことと言ってもごく簡単なこと。学生のほうも何か用事があると英語で私に話していたが、その時の印象もそんなに英語が上手という感じは受けなかった。一応こちらも教師なので、学生のほうが英語ができると多少引け目を感じるところだが、そんなふうに感じることはなかった。ただ、教室に行って第一声「英語で話していい?」と聞いて英語で話し始めてもいやな顔をあまりせずに受け入れてくれたことはありがたかった。元々外国人教師のクラスを選んで取りに来ているので、受け入れる素地があったのかもしれない。
 日本語学科の授業で、いわゆる内容科目(日本語の習得だけを目的としたものではない科目)を受け持った時に、資料として英語を渡して読んでくる宿題を出したのだが、その時もそんなにすんなりいったわけではなかった。確かに私も日本よりは(というより、大学時代の自分よりは)、台湾の学生のほうが英語ができるんじゃないかと思っていたところはあるが、そうではないんだなと感じた覚えがある。
 そしてもう一つ。「英語で話す人に限って英語ができない」というのが、英語を使っていた時の印象。私が一言中国語を発すると、外国人であまり中国語ができないとわかり、そうすると相手は困った顔をしながら、英語で話そうとする。でも、そういう時に限って英語での会話は早々に終わる。買い物で値段ぐらいなら言ってくれるが、それ以上の内容になると中国語になる。
 以前勤めていた学校の事務方と話す時によくあったこと。私が何か用事があって行くと「あら、外国人が来ちゃった、どうしよう」と戸惑った顔をし、英語で話し始める。私がカタコトの中国語で話しかけたとしてもだ。そこまではまだいいが、学校の事務方と話す時は特に、街で買い物するのとは違い込み入った話になることが多い。そうすると、相手も英語でどうやって話したらいいかわからなくなり、途中から突然中国語になる。「そこまでの英語ぐらいだったら、私の中国語でわかるんですよ。その難しいところこそ、英語で話してほしいんだけど…」と思ったことが何度もあった。
 逆に、学科の先生たちは英語学科なので英語ができるが、私が中国語で話している限り中国語で応対してくれる。時折、私がわからない中国語があって「○☓□?」というと、英語で教えてくれた。

 もちろん、英語が話せる人もたくさんいる。でも、日本も同じなんじゃないかと思う。以前担当していた台湾と日本との学生の交流活動では、日本語を使ったり英語を使ったり、それぞれの得意分野で話していたのだが、日本の学生でも英語が上手だなと思う学生も多い。また、ここ数年、日本に帰ったときに、英語で何やら議論している人を何回も目にしたり、英語で道を聞かれてそれにそつなく答えている場面を見たり、築地で外国人客に商品の細かな説明をしている店員さんを見たりして、「英語できないっていうけど、そんなことないんじゃないの?」と思うことが多くなった。
 違うなと思うのは、外国留学が台湾のほうが高く評価されることだ。これは、古い日本の印象かもしれないが、日本では高いお金を出して外国に留学したとしても、そんなに評価されない。名前を知っている有名な大学を出たのならまだしも、アメリカの名前も知らない大学を出たぐらいだと、あまり評価されない。日本と台湾では大学の数が全然違うので一概に比較はできないが、台湾だと外国に留学したら、それなりに評価してもらえる。どこの大学を出たというよりも、外国留学したことが評価される。(台湾の大学でも、大学間格差はあるので、どこの大学を出たかという感覚は持っている)

 最後に、あんまりよくは知らないが、中国について。台湾で私の日本語クラスに来たごく少数の中国人、それも日本語でのことだが、会話はできない、という印象を受けた。文法はよく知っているし、書けば難しいことも書けるのだが、会話はさっぱり。会話以前に、書いたものを声に出して読んでもおぼつかない。中国で日本語を教えていた友人曰く、ものすごい詰め込み教育で、やはり書けるが話せない人が多い。ただ詰め込みが尋常ではなく、進度は早いし覚えろと言ったら必ず覚えてきてそれはすごい、ということだった。日本語がそうなら、英語もさして違いはないのでは、と思ってしまう。

 ということで、台湾や中国の英語教育と比べ、日本の英語は実用的な力が身についていない的なコメントには、そうなのかなあ????と思う。



2013年4月28日日曜日

朝ごはんを食べないとバカになる

 会話の授業で「アンケート結果を発表する」という課題をしている。先日、前半グループの発表があった。あるグループのテーマは、「朝ごはん」。発表の中でびっくりしたことがあった。
 まず、アンケートの質問が、
「朝ごはんを食べないとバカになる」というのを信じていますか。
というもの。子どもが「コーヒーを飲むとバカになる」とか「わさびを食べるとバカになる」というのは私が小さい頃親に言われていたことだが、「朝ごはんを食べないと…」というのは聞いたことがない。そんなこと言うんだ…とちょっと驚いていたら、さらに結果に驚いた。
アンケートの結果→信じている98人 65%
発表者のコメント
思ったより信じている人が少なかった。
「朝ごはんを食べないとバカになる」えーそんなこと言うんだ!「信じている人 65%」えー、そんなにたくさん信じているんだ!!「思ったより少なかった」えー!!!これで思ったより少なかったんだ!!!という、私にとっては三段階の驚き。
 その日の最後の発表だったので、
これって、小さい頃からそう言われているの?
とクラスのみんなに聞いたら
科学的に証明されています
という答えが返ってきた。そう言われると、朝ごはんと子どもの成績の調査研究というのがあったような、とその時は思った。
あとで、ふと思った。これって相関関係と因果関係をごっちゃにしているのでは?(研究は確か相関関係があるってことだったような…)

2013年4月19日金曜日

Facebookの買い物グループはほぼ怪しい(らしい)

 今週はテスト週だった。会話の授業で「詐欺」について説明するという課題があり、そこで聞いたこと。
 日本でというか日本語ユーザーで、Facebookのアカウントをハックされるのがどのくらいあるのかは知らないが、台湾では今までもよく聞いたことがある。私自身はあまり使わないので気にしていなかったのだが、学生に聞いた話で自分にも関係がありそうなことがあったので、少し関心を持たないと、と思った。

 Facebookのアカウントをハックして何をするのか。
1-1、友だちになりすましてダイレクトメールを送り、電話番号を聞き出す。 
 久しぶりに友だちから連絡があって電話番号を聞かれたら要注意。それは偽の友だちかもしれない。
1-2、聞き出した電話番号を使って、買い物をする。
 この部分は、私はそういうことをしたことがないのでよくわからなかった。学生にも聞いてみたのだが、今ひとつよくわからない。たぶん、スマホとかでアプリを買うとか、ゲームの料金などが、電話代から引き落とされて、それが利用されるのだと思う。私の電話は未だに3G未対応なので、その心配はないのかな…と思った。

2-1、盗んだアカウントの友だちリストにグループなどへの招待メールを送る。
  私は、ゲームやら、地域のグループやらの招待メールをたまに受け取るが、ほぼ、そのままにしている。グループ名から察するに買い物系のグループと思われるものもいくつか受け取っていた。その時も、何も考えずにそのままにしていた。
2-2、買い物系グループは怪しい
 詳細はよくわからないが、商品が偽物であるらしい。その他、推察するに、個人情報を取得する目的もあるのかなあと思う。

 ハックされたアカウントからのアクセスと思われるものを見つけたら、すぐにパスワードを変更したほうがいいとのこと。また、グループも退会したほうがいい。

 私は実に5つの買い物系グループへの招待があった。ということは、私のあまり多くない友だちリストの中で、5人もアカウントをハックされたということ?(安全のために誰からの招待かをチェックしておけばよかったと後で思った。)


2013年2月1日金曜日

不妊のおまじない

少し前に友人から聞いた話。
 結婚して日本に住んでいる台湾人の友人。息子さんが一人いて、二人目がほしいのだがなかなか授からない。さらに、彼女の友人も子どもがほしいのだができない。ということで、二人分のおまじないグッズを台湾にいる自分の妹さんに頼んだ。
 どういうおまじないグッズかというと、今妊娠している人が妊娠する前に購入した生理用ナプキン。男の子がほしい人はお腹にいる子が男の子の妊婦さんからもらう。女の子が欲しい場合は女の子がいる人からもらう、とのこと。なんかわかりやすいというか、生々しい感じもするなあと聞いた時に思った。そのナプキンは化粧ポーチなど普段身に付けるものの中に入れておくのだという。
友人の妹さんはこのことを知らなかったのだが、職場で周りの人に聞いてみると「もう全部あげてなくなった」という人が多数。結構、知られているおまじないだということに驚いたらしい。妹さんからは、職場の妊婦さん経由のネットワークで、無事におまじないグッズが届いたそうだ。
 私も日本の友人で不妊に悩んでいる人が結構いて、いいお医者さんだとか漢方薬の話だとかは聞いたことがあったのだが、こういうおまじないは聞いたことがなかった。
 私はこの友人のおかげで、不妊、妊娠、出産、避妊などについていろいろ知ったことがある。いつも質問をされるのだが、私はよくわからないので日本の友人に聞くと、「うーん、あまりないと思うけど」ということも多い。それ以外にも、「台湾では一般的」と言われることについて、え!?そうなの?と驚いたこともしばしば。
 ナプキンに関することで妊娠とは関係がないのだが、ドラマを見て驚いたことがひとつ。おととしぐらいだったか、かなり話題になった台湾ドラマで私も見ていたのだが、その中のある場面。
 遠距離恋愛をしている彼氏のところに彼女が初めて来る。彼氏の仕事中に彼女が着いてしまうので、この彼氏は彼女のためにいろいろ準備をする。食べ物はここにあるよ、とか、帰るまで雑誌を見ていてと複数冊の雑誌を整え、さらに、「万が一のために…どのメーカーのがいいかわからなかったから色々買っておいた」と生理用ナプキンまで用意。
 この話を台湾に住んでいる日本人の友人に話したら「そんなことされたら私だったらひいちゃう」。
 なんとなく、ちょっと日常の話題に載せにくいことで、面白い違いを感じることがある。
 
 

2013年1月25日金曜日

テレビの海外ドラマ・映画 字幕と吹替え

 台湾に来て驚いたこと-映画が吹き替えではなく字幕。
(私の心の声:えー!そうですか。そこに驚くほうが驚きです!)

先日、会話クラスの発表で上記のことを聞いて、本当にびっくりした。それと同時に、もうかなり昔に書きかけた内容で、形にならずそのままほっておいたこの記事のことも思い出した。

 会話クラスの発表は「日本人にインタビューした内容」というとてもアバウトなテーマだった。この課題の設定は、インタビュー主旨を説明し、アポを取り、それなりに内容のある会話展開をさせて相手のことを知り、それをストーリーにまとめて発表するというものなので、何を話すかというのは、学生に任せてある。だいたい、インタビュー相手は、台湾留学している日本人学生が多いこともあって、台湾に来て驚いたこと(台湾と日本との違い)のような内容になる。そして、上記の発言があったらしい。学生にとってはかなり驚きだったようで、発表では日本の映画予告編吹き替え版も見せて、みんなで「へーーん!」と大合唱。そして学生は、日本の映画館では全て映画が吹き替えで放映されていると誤解した人がたくさんいる模様。いやー違うと思いますけど…、でもそういえば、最近、メジャーな外国映画を映画館で見ていないからよくわかんないな…と思った私。
 でも、2年以上前にこの記事を書こうとして調べた時に、日本映画の吹き替えが増えているということは、知った。
 さて、この「テレビの海外ドラマ・映画 字幕と吹替え」だが、きっかけは「日本のテレビの外国映画は、どうして吹き替えばっかりで字幕がほとんどないの?」と友人に聞かれたことだった。この時は、 「以前は、字幕作るのが大変だったからなんじゃないかなあ。それで、その時のやり方がそのまま続けられているとか。」なんて、適当な答えをしてしまった。なんとなく興味を覚えたので調べてみたら、私の答えは本当に適当なものだったことがわかった。

ここで調べてたどりついたのが日経の記事。
吹き替え映画なぜ増加? 「超日本語吹替版」も登場 これを読んで、なるほどな、と思った吹き替え版増加の原因。
①吹き替えだと内容の9割が伝えられる。字幕だと3割が精一杯。
②場面展開が早い映画が増えてきて、字幕を目で追うと映像を見逃す。
③複数のスクリーンを持つ映画館が増えたので、字幕版と吹き替え版と両方を放映できる。
④3D映画だと字幕が見づらい。
 この記事は2010年のものだが、記事の中には「(2009年には)全配給に占める吹き替えのある映画の割合は12%から32%に上がった」とあるので、やはり、学生が誤解したような、全ての映画が吹き替え版だということは、今でもないと思うのだが…。
 台湾での事情と違うのは、この①吹き替えだと内容の9割が伝えられる。字幕だと3割が精一杯。の部分だろう。中国語の場合、日本語より字数が少なく多くの内容が伝えられる。日本語と比較して半分強の文字数ぐらいだろうか。
 テレビだと、映画館のスクリーンに比べてさらに画面が小さくなるし、そこに文字が入ると追うのが大変だから、というのが、日本のテレビで吹き替えが多い理由なのだろう。

 映画館の字幕でもうひとつ思い出したのが、以前スイスにいた時のこと。スイスではどちらかと言えば、吹き替え版の方が多かった。私の住んでいたフランス語圏では、フランス語バージョンとオリジナルバージョンとがあって、フランス語がわからない私は、オリジナルバージョンを見に行っていた。確かその時の記憶では、オリジナルを見に行く方が選択肢が少なかったように思う。また、字幕は、フランス語とドイツ語の両方があったように記憶している。フランス語もドイツ語も、日本語以上に文字数が多くなるので、日本語よりもさらに見づらいからなのではないかと思う。字幕画面も、日本語の場合は、文字数が少なく余白があるが、独仏の字幕は、画面の一番下に幅いっぱいに字幕が広がっていた。

 上記新聞記事の②場面展開が早い、④3Dだと字幕が見づらいであるが、これは、台湾でも同じになるはずである。場面展開が早いについては、このことを学生に話したところ、あまり納得してもらえなかった。3Dはどうなんだろう?台湾で3D映画を見に行ったことがないので、今度見に行ってみようかと思う。


2013年1月19日土曜日

面接はスーツで臨もう

 卒業生と久しぶりに会った。「日系企業に就職したんです!」と嬉しい報告。聞きたい気持ちがむくむく湧いてきて、面接のことや仕事のことなどを根掘り葉掘り聞いた。今日、聞いた話。
 募集を見たのはネットの仕事紹介サイト(人力銀行)だった。1年以上の経験者募集と書いてあったが、ダメ元で応募。面接の練習にでもなれば、という気軽な気持ちで臨んだ。それでも、先輩に面接での心得を聞き、履歴書や自己PRの日本語版中国語版を用意し面接に行った。
面接には5人来ていたんですよ。でも、スーツを着ていたのは僕だけでした。
隣の応募者と話したが、彼のほうが明らかに日本語が上手だと思ったとのこと。でも採用されたのは、自分だった。
自分でもびっくりです。
面接で日本語で聞かれたのは、どんな食べ物が好きか?どこに住んでいるか?など。え?それ仕事と関係あるの?と本人は思った。まあ、これは、内容よりも日本語力を見ていたんだろうと私は思った。
両親もそう言っていました。
中国語の質問内容のほうが答えるのが難しく、例えば「3か月過ぎたら給料があがるけれども、どれぐらいあがると思う?」と聞かれたそうだ。「結構大事な仕事だけれど、自分にできると思う?」と聞かれ、内心は「いやあ、初めてだからそんな自信は…」と思っていたが、それは面接。「やります!」と答えた。

 タイトルの「面接はスーツで臨もう」だが、それは、たぶん、この卒業生が採用されたのは「スーツで面接に臨んだ」ことがポイントの一つだったのではないかと思ったからだ。実際、面接当日スーツを着ていると、お父さんから「そこまで正式な格好をしなくてもいいんじゃないの」みたいなことを言われたらしい。でも、本人は「いや、相手はやっぱり日本の企業だからスーツのほうがいいだろう」と思って、スーツを着て行ったそうだ。こういうところ、「お!わかってるじゃん」みたいに思われたのではないかなあと思う。
 日本語で書いた自己PRは、自分ですべて書き、ネットなどは参考にしなかった。
間違えていたとしても、それをそのまま見てもらったほうがいいですから。僕の能力の程度を相手にわかってもらったほうがいいし。
いいね、そういう感じ。

 仕事を始めたのはこの月曜日から。
今はまだ勉強しているだけで、なんにも役に立っていないんですよ。
とこれまた、謙虚な発言。彼が見せてくれたメモ帳には、仕事用語がずらりと並んでいた。
前に先生に自己PRの書き方をだめだと言われたから、今回は、今まで通訳したことなどをたくさん書きました。
そういえば、以前会った時には、「仕事紹介サイトに登録したけれど、全然面接の話が来ない」とぼやいていた。自己PRに何を書いたかと聞いたら、家族のことや経験はないけれど頑張りますみたいなことを書いたと言っていて「何書いてんのあんた!!」ぐらいの勢いでダメだしをしたことがある。そんなことがあったことも忘れてしまうぐらい、今日会った卒業生の彼は、立派なオトナになっていた。私が言ったことが少しは役に立ったのかな、と思ってこちらも嬉しかった。
この他にもいろいろな話を聞いたが、何を聞いても、いやあ、大人になったなあ、と感じた。
卒業生:今日は、たくさんほめてくれるけど…
私:いや、ほんとに心の底からすごいなと思ってるよ。
卒業生:ほんとに心の底?心の横とかじゃないの?
まあね、大学ではちゃかしてほめることも多かったけれど、今日のは、本当に心の底の言葉です。人の成長を見た!という嬉しい日でした。